会社で研究開発職をするメリット

私は現在半導体メーカーで研究開発職に携わっています。
大学は理工系で修士課程まで出ています。就活するにあたっては、博士課程に進むか、会社に入って研究職をするかをものすごく悩みました。現在は入社して5年ほど経ち、会社に入って良かったなと思う反面、大学に残って専門を極めたいという気持ちも多少あります。
今回は、私が実際にメーカーの研究職として働いた経験から、会社で研究職・開発職(R&D)をすることのメリットを紹介していきます。現在理工学部に所属する大学生・大学院生の方たちが、就職したいけどアカデミックの道にも悩んでいる場合の手助けになればと思います。
会社で研究職をするメリット
設備や予算が大学に比べてけた外れに充実している
まず、会社で研究職をする場合のメリットとして、実験設備の充実度や使える予算の額が大学の研究室に比べけた外れに大きいことがあげられます。
私が大学院生で研究室に所属しているときは、1個5万円ほどの実験道具を購入するのにも教授に頭を下げに行っていました。
一方、今私が働いている会社では、10万円以下の実験設備なら自由に購入でき、書類1枚回覧するだけで100万~1000万円くらいの物品も簡単に購入することができます。他社と比べてどうかは分かりませんが、少なくとも大学と比較すれば、はるかに予算は通りやすいです。また本当に実験に必要なものであり、実験の成果がある程度見込めるものであれば、例えば実験装置などの億単位の値段であっても購入することは可能です。
ワークライフバランスの実現
会社での研究に比べると、大学の研究室というのは非常にブラックな環境だと思います。明確に定時も設けられず夜中遅くまで残ってデータを解析したり、マシンタイムの都合で徹夜で実験したり、報告会では教授に重箱の隅をつつくようなことで詰められ、家に帰っても論文を読んで・・・、正直私が大学院生の時には心身全てを研究に捧げ、真に気持ちが解放されたことはほぼなかったように思います。
一方、会社での研究職というのは、昨今の働き方改革などにより労働環境はかなり緩くなってきています。私の場合は週の半分程度は定時に仕事を終え、残業がある場合もせいぜい1時間~2時間程度です。月の残業時間の上限は60時間(36協定を結んでいます)なので、仮に毎日残業したとしても一日3時間までが限界です。しかも残業すればするだけ残業代も支給されますから、決して大学のようにタダ働きで深夜までいるようなことはありません。土日祝日はしっかり休みが取れますし、年間20日は有給休暇も取得できます。
会社での研究開発職では、仕事とプライベートの切り分けがはっきりとできますので、体力的にも精神的にもゆとりは持てると思います。
チームで業務に取り組む
会社ではチームを組んで何かしらの研究テーマに臨むことが多いです。大学でももちろん仲間と協力して実験をすることはありますが、会社の場合には各人の専門領域がはっきりとしています。なので、自分がやるべき範囲のことに集中にして仕事をできます。大学の場合には、学生一人がやるべきことの範囲が非常に広く、例えばサンプル作製や測定装置の開発、実験、解析、シミュレーションなど、さまざまなことをしなければなりません。それはそれで勉強にもなるのでいいことではありますが、学ぶべきことの範囲が広すぎて、本当に優秀な一部の人間以外は挫折してしまうのではないでしょうか?
成果を上げれば報奨金も
会社の研究職で何か成果を上げた場合、会社から報奨金をもらえることがあります。金額は成果の度合いによってまちまちですが、10万円~数100万円までかとおもいます。日々研究するときは決してお金のためだけに実験をしているわけではありませんが、報奨金をいただければ自分の承認欲求も満たされますし、うれしいものです。
理論よりも実験結果が求められる
これはメリット・デメリットという括りからは少し外れますが、会社での研究職、特にメーカーの場合は、ものを作って売って利益を得てなんぼの世界です。なので、試作を重ねて特性の優れているサンプルを作っていくことが求められます。大学の研究ではむしろ、ある物理現象についての理論を詳細に解明していくことに焦点が当てられので、その点では大学と会社での研究の目的が大きく異なると思います。
まとめ
いかがでしたか?
私は会社で研究職をしてきて、なかなか満足しています。
会社でもやりがいを感じながら研究・開発することはできますので、あまり就職することに不安を感じずにいてもらえればと思います。
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